------  傑作映画館  ------


● たそがれ清兵衛
   監 督 :山田洋次
   出 演 :真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、岸恵子、
   ジャンル:ドラマ(時代劇)
   2002年  日本



注)以下、ネタバレだらけです!

【あらすじ】
 
 幕末の頃、御蔵役の井口清兵衛(真田広之)は、まだ幼い娘たちと認知症を抱える母と労咳で死んだ妻の葬儀等でかさんだ借金のため終業の時間になると真っすぐに自宅に戻り家事や内職にいそしんでいましたが、同僚の中にはそんな彼を「たそがれ清兵衛」と呼んで馬鹿にするものもいたのです。
 親友の妹・ともえ(宮沢りえ)とは幼馴染でしたが、彼女は酒乱の夫と離縁したばかりでした。
 ちょっとしたこと事から清兵衛が小太刀の使い手である事が家老の耳にはいりその命により果し合いをしなければならなくなります。(権力争いにまきこまれる)
 

 しかしその過程で清兵衛とともえの心は一つになるのです。

 
【感想】
 語りの声に聞き覚えがあると思ったら岸恵子さんでしたか。
 



たそがれ清兵衛と、ともえ。

 清兵衛がともえと結婚してからは、長じた娘が清兵衛の墓参りをするシ―ンと語りだけでサラリと流しますが、実はこれが言いたかったのではないかと思います。
 人は清兵衛の人生が彼にとって不本意だったというけれど、ともえと結婚して3年後に賊軍として官軍の鉄砲に撃たれて死んだ清兵衛の人生は決して不幸なものではなかった、と娘(語り=岸恵子)は言います。
 彼は娘たちを愛し美しいともえさんに愛された素晴らしい人生を送ったのだと … 。

 映画の終わり近く、家老の命で果し合いをする清兵衛の死闘が時代劇らしいといえばそうですが、全体にもう少し湿り気みたいな雰囲気が欲しいような気もします。
 リアルな現実はこんなものかもしれませんが。




  2019.11.    ................ 傑作映画館の目次ページへ